転職先の残業時間に、すべての人に当てはまる「正解」はありません。ただし、判断の目安としては、月20時間程度までなら検討しやすく、月20〜40時間は条件次第、月45時間を超える状態が続くなら慎重に確認するのが現実的です。
大切なのは、求人票に書かれた平均残業時間だけでなく、繁忙期の残業、固定残業代の時間数、休日出勤の有無、残業の発生理由まで確認することです。
残業時間の許容範囲は、何時間を基準に考えるか
以下は法律上の合否を示す基準ではなく、転職先を比較するための目安です。体力、家庭の事情、通勤時間、給与などによって許容できる範囲は変わります。
| 月の残業時間 | 判断の目安 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 0〜10時間 | 残業の負担は比較的小さいと考えやすい | 繁忙期や休日出勤がないか |
| 10〜20時間 | 生活との両立を考えやすい範囲 | 毎月安定しているか、突発的な残業があるか |
| 20〜40時間 | 許容できるかは仕事内容や給与とのバランス次第 | 通常期と繁忙期の差、残業の時間帯 |
| 45時間超 | 一時的か、恒常的かを慎重に確認する | 長時間労働が続く理由、改善予定、休日出勤 |
| 60時間以上 | 負担が大きい可能性があるため、安易に決めない | 実際の労働時間、離職状況、業務量の調整方法 |
たとえば、月20時間の残業でも、毎日30分程度で終わる場合と、特定の週に深夜まで働く場合では負担が異なります。残業時間の合計だけでなく、残業が発生する時間帯と集中する時期も見てください。
転職先の残業時間を判断するときの考え方
自分の許容範囲を決めるときは、残業時間を給与だけでなく、生活への影響と合わせて判断します。
生活との両立を優先する場合
育児、介護、通院、資格の勉強などを続けたい場合は、月20時間以下を一つの目安にすると比較しやすくなります。ただし、月20時間以下と書かれていても、繁忙期だけ大幅に増えることがあるため、年間を通じた変動を確認する必要があります。
給与や経験を優先する場合
月20〜40時間程度の残業を許容できるなら、年収や身につくスキルとのバランスで判断できます。ただし、残業代が支給されることと、長時間労働を無理なく続けられることは別です。
残業代を含めた年収だけでなく、残業を除いた基本給、固定残業代の時間数、固定時間を超えた分の扱いを確認してください。
体調や通勤時間に不安がある場合
長い通勤時間や睡眠不足がある場合、同じ残業時間でも負担は大きくなります。たとえば片道90分の通勤に加えて毎日1時間残業する仕事は、残業時間が月20時間程度でも自由時間が少なくなります。
残業時間だけでなく、通勤時間、始業時刻、帰宅時刻、睡眠時間を含めた一日の生活を計算して判断しましょう。
求人票の残業時間だけで判断してはいけない理由
求人票にある「月平均残業時間」は、会社全体の平均や特定の職種の平均であることがあります。転職後に配属される部署や担当業務の実態と一致するとは限りません。
面接や採用担当者への確認では、次の項目を具体的に聞くと判断しやすくなります。
- 応募する職種・配属予定部署の平均残業時間
- 通常月と繁忙期の残業時間
- 繁忙期が何月ごろで、どのくらい続くか
- 残業が発生する主な理由
- 始業前の準備、終業後の片付け、持ち帰り業務の有無
- 休日出勤や夜間対応の有無と頻度
- 固定残業代に含まれる時間数と、超過分の支給方法
「残業は少ないです」という説明だけでなく、「直近3か月の残業時間は何時間だったか」「繁忙期には何時間程度になるか」のように、期間や数字を区切って質問するのがポイントです。
固定残業代がある求人は、残業時間と分けて確認する
固定残業代とは、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う仕組みです。固定残業代が設定されているからといって、その時間分の残業が必ず発生するとは限りません。一方で、固定残業代の時間数を残業時間の目安として確認することはできます。
たとえば「月30時間分の固定残業代を含む」と記載されている場合、実際の残業が毎月30時間あるとは限りませんが、次の点を確認してください。
- 固定残業代が何時間分か
- 基本給と固定残業代が分けて記載されているか
- 固定時間を超えた残業代が追加で支払われるか
- 固定残業代を除いた基本給はいくらか
- 固定残業代の対象に休日労働や深夜労働が含まれるか
自分が月20時間までしか許容できない場合、月30時間分の固定残業代がある求人は、実際の平均残業時間が20時間未満でも慎重に確認したほうがよいでしょう。
法律上の上限と、転職先として許容できる時間は別に考える
時間外労働には、労使協定や特別条項などに関する法律上のルールがあります。法律上の上限を超えていないからといって、誰にとっても無理なく働ける職場とは限りません。
一般的なルールでは、時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間です。臨時的な特別の事情がある場合には例外的な上限が定められていますが、これは「毎月その時間まで働いてよい」という意味ではありません。
転職先を選ぶときは、法的な上限内かどうかだけでなく、自分が継続して働ける時間か、会社が残業を減らす仕組みを持っているかを確認してください。
残業時間から転職先を判断する手順
- 自分の上限を決める。「通常月は月20時間まで」「繁忙期でも月30時間まで」のように、通常時と例外時を分けて決めます。
- 求人票の数字を確認する。月平均か、職種別か、固定残業代の時間数かを区別します。
- 面接で実態を聞く。通常月、繁忙期、休日出勤、残業の時間帯を具体的に質問します。
- 給与条件と照らし合わせる。残業代を除いた基本給と、固定残業代を超えた場合の支払いを確認します。
- 一日の生活時間を計算する。始業・終業時刻、通勤時間、家事や睡眠の時間を含め、無理なく続けられるか考えます。
- 回答に曖昧さが残る場合は、入社前に書面で確認する。求人票、労働条件通知書、雇用契約書などで条件を照合します。
残業時間以外に確認したい危険信号
残業時間の数字が低くても、業務量や管理方法に問題があると負担が隠れている場合があります。次のような説明がある場合は、残業時間だけで判断しないでください。
- 「みんな定時後に仕事をしているが、申請していない」と説明される
- 「自己成長のため」としてサービス残業を求められる
- 休日や夜間の連絡対応について説明がない
- 繁忙期の時期や残業時間を具体的に答えてもらえない
- 固定残業代の時間数と実際の平均残業時間が大きく違う
- 担当者によって残業時間の説明が変わる
これらは直ちに違法や問題だと断定できる情報ではありませんが、労働時間の実態を追加で確認する材料になります。
転職先の残業時間は「月20時間以下」を基準に、条件別に判断する
残業時間の許容範囲に迷う場合は、まず月20時間以下を比較の基準にし、月20〜40時間なら給与・仕事内容・繁忙期の長さと引き換えにできるかを考えると整理しやすくなります。月45時間を超える残業が続く求人は、具体的な理由と改善状況を確認できない限り、慎重に判断してください。
最初に確認するのは、求人票の「月平均残業時間」ではなく、応募する職種の通常月・繁忙期・休日出勤・固定残業代の時間数です。数字の意味をそろえて比較すると、自分にとって許容できる転職先か判断しやすくなります。







