残業なしの求人でも、労働条件通知書には「所定労働時間を超える労働の有無」を記載する必要があります。そのため、求人票で「残業なし」と表示されていても、労働条件通知書で残業の有無を確認できます。ただし、通知書に「なし」と書かれていることと、実際に一切の時間外労働が発生しないことは、必ずしも同じではありません。
労働条件通知書には残業の有無が記載される
労働基準法では、会社が労働者に明示する労働条件として、始業・終業時刻や休憩時間だけでなく、所定労働時間を超えて働くことがあるかどうかも定められています。
そのため、労働条件通知書には一般的に、次のような項目が設けられています。
- 所定時間外労働の有無:有・無
- 休日労働の有無
- 交替制勤務の場合の勤務時間
- 賃金や割増賃金に関する事項
根拠となる明示事項は、労働基準法および労働基準法施行規則で定められています。
「残業なし」の求人なら、通知書のどこを確認するか
労働条件通知書の「所定時間外労働の有無」や「時間外労働」の欄を確認し、「無」「なし」などと記載されているかを見ます。
| 記載例 | 読み取れる内容 |
|---|---|
| 所定時間外労働:無 | 契約上、所定労働時間を超える勤務を予定していないと考えられる |
| 所定時間外労働:有 | 残業が発生する可能性がある |
| 時間外労働:月○時間程度 | 残業の可能性と、おおよその時間が示されている |
| 記載が空欄、または説明が不明確 | 会社に残業の有無や条件を確認する必要がある |
なお、法律上記載が必要なのは主に「所定労働時間を超える労働があるかどうか」です。残業が発生する曜日、繁忙期の扱い、月の上限時間、残業を断れるかといった細かな条件まで、すべて同じ形式で記載されるとは限りません。
求人票の「残業なし」と通知書の「残業あり」が違う場合
求人票が「残業なし」でも、労働条件通知書に「所定時間外労働あり」と記載されているなら、両者の意味が異なります。求人票の表示だけで判断せず、雇用契約を結ぶ前に、どちらが正しい条件なのかを会社へ確認してください。
確認するときは、次の点を具体的に質問すると判断しやすくなります。
- 「残業なし」は、通常の勤務で残業がほとんどないという意味か
- 契約上、所定労働時間を超える勤務を命じることがあるか
- 残業がある場合、月に何時間程度か
- 繁忙期や突発的な業務で残業が発生するか
- 休日出勤の可能性があるか
- 固定残業代が賃金に含まれていないか
会社から説明を受けた場合は、口頭だけでなく、労働条件通知書や雇用契約書に反映されているか確認しましょう。求人票と通知書の内容に差があるまま署名する場合は、どの条件で契約するのかを明確にすることが大切です。
「残業なし」と書かれていても確認したい例外
「残業なし」は、通常の勤務では残業を予定していないという意味で使われることがあります。しかし、求人票だけでは、緊急時や繁忙期にも残業がないという意味まで確定できません。
また、「所定労働時間を超える労働」と「法律上の時間外労働」は同じとは限りません。たとえば、会社が定めた勤務時間を超えていても、法定労働時間の範囲内であれば、法律上の時間外労働に当たらない場合があります。
一方、法定労働時間を超える時間外労働をさせる場合は、原則として時間外・休日労働に関する協定、いわゆる36協定が必要です。時間外労働には、法律で定められた割増賃金の支払いも必要になります。
労働条件通知書に「残業なし」と書かれていた場合
通知書に「所定時間外労働なし」と明記されている場合、少なくとも契約上は、所定労働時間を超える勤務を予定していない条件と考えられます。ただし、実際に残業を命じられたときに直ちに違法と判断できるかは、雇用契約、就業規則、会社の説明、残業の内容などによって異なります。
「残業なし」の条件を重視するなら、採用後に確認するのではなく、入社前に次の3点をそろえておくと安心です。
- 求人票の「残業なし」の表示を保存する
- 労働条件通知書の「所定時間外労働の有無」を確認する
- 残業が発生する例外や上限を会社に質問し、必要なら書面にしてもらう
求人票に「残業なし」とあっても、労働条件通知書に残業の有無が記載されているかを確認することが重要です。「なし」と明記されているか、記載が「あり」なら時間や条件は何かを確認し、求人票と内容が違う場合は契約前に会社へ確認してください。







