残業なしの条件で転職したのに入社後の条件が違った場合、どうすればいい?

残業なしの条件で転職したのに入社後の条件が違った場合、どうすればいい?

残業なしの条件で転職したのに、入社後に残業を求められた場合は、まず求人票ではなく、労働条件通知書・雇用契約書・採用時のメールなどを確認してください。書面で「残業なし」「時間外労働なし」などの条件が明確に示され、実際の条件と違う場合は、会社に訂正や説明を求めることができます。条件の相違が重大であれば、労働基準監督署や都道府県労働局の相談窓口に相談しましょう。

最初に確認するのは「残業なし」の意味です

「残業なし」という言葉だけでは、次のどの意味で合意したのかによって判断が変わります。

確認する表現 考えられる意味
時間外労働なし 所定労働時間を超える勤務をさせない条件と考えられる可能性があります。
残業は原則なし 例外的に残業を求められる余地が残っています。
月平均残業時間0時間 平均値の説明であり、特定の日の残業が一切ないという意味とは限りません。
固定残業代なし 固定残業代がないという意味で、残業そのものがないとは限りません。

求人票だけでなく、採用面接での説明、内定通知書、労働条件通知書、雇用契約書、入社前のメールやメッセージを同じ条件で確認します。会社から交付された労働条件通知書には、労働時間や時間外労働に関する事項が記載されます。厚生労働省「労働条件通知書」

入社後に条件が違ったときの対応手順

  1. 証拠を保存する。求人ページの画面、応募時の募集要項、面接や電話での説明を記録したメモ、メール、チャット、労働条件通知書、雇用契約書、実際の勤務時間を示す勤怠記録を保存します。求人ページは削除されることがあるため、URLと確認日が分かる形で保存しておくと役立ちます。

  2. 会社に書面で確認する。「入社前には残業なしと説明を受けましたが、現在は残業を求められています。契約上の時間外労働の取扱いと、今後の勤務条件を書面で確認したいです」と、感情的にならずに伝えます。上司だけでなく、人事や採用担当者にも同じ内容を送ると記録が残ります。

  3. 実際の残業内容を記録する。残業を命じられた日、開始・終了時刻、誰からどのように指示されたか、断った場合の反応、残業代の支払い状況を記録します。タイムカードや勤怠システムの画面も、確認できる範囲で保存します。

  4. 解決しない場合は公的な相談窓口を利用する。労働基準監督署では、労働時間や割増賃金など労働基準法に関わる問題を相談できます。契約内容の相違や解雇なども含めて相談したい場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーも選択肢です。

会社に残業を求められたら、すぐに無断欠勤してよいのか

条件が違うと感じても、確認せずに無断欠勤や一方的な退職をするのは避けてください。まず「残業なしの条件で入社したため、契約上の根拠と今後の取扱いを確認したい」と伝え、記録を残します。

法定労働時間を超える残業をさせるには、原則として会社と労働者代表などとの間で締結する時間外・休日労働に関する協定、いわゆる36協定が必要です。ただし、36協定があるからといって、求人や契約で明確に合意した「残業なし」の条件が当然に無効になるとは限りません。実際にどの書面で、どのような条件に合意したかを分けて確認する必要があります。

残業の指示を受けた場合は、指示の日時と内容を記録し、就業規則や労働条件通知書も確認してください。安全上の問題、体調上の問題、契約内容との明確な違いがある場合は、その事情を具体的に伝えたうえで、早めに専門窓口へ相談します。

「残業なし」の合意が明確なら、労働条件の相違を主張できる可能性があります

採用時に示された労働条件と、実際の労働条件が異なる場合、会社に説明や是正を求める根拠になります。特に、労働条件通知書や雇用契約書に「時間外労働なし」と明記されている場合は、求人票だけの場合よりも、条件の相違を説明しやすくなります。

労働基準法第15条では、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者が労働契約を解除できる旨が定められています。ただし、実際に契約を解除できるか、損害賠償や退職の扱いがどうなるかは、明示された内容、会社の説明、残業の程度などによって判断が変わります。退職や契約解除を決める前に、資料をそろえて労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労働問題を扱う弁護士などへ確認してください。

なお、「残業なし」と書かれていても、固定残業代の有無、管理監督者に該当するか、所定労働時間と法定労働時間の違いなどが関係する場合があります。肩書だけで管理監督者になるわけではないため、会社の説明をそのまま結論にせず、実際の権限や勤務実態も確認します。

相談時に準備するもの

  • 求人票や募集ページの保存画面
  • 内定通知書、労働条件通知書、雇用契約書
  • 残業なしと説明されたメール、メッセージ、録音、面接メモ
  • 残業を指示された日時・内容・指示者の記録
  • タイムカード、勤怠記録、給与明細
  • 会社に確認した内容と、会社からの回答

資料は「残業があった」という事実だけでなく、入社前にどの条件が示され、入社後に何が変わったのかが分かるように整理します。相談窓口によって対応できる範囲が異なるため、残業代の未払い、労働条件の相違、退職強要など、困っている点を具体的に伝えてください。

まずは労働条件通知書や雇用契約書で「残業なし」がどのように記載されているかを確認し、残業の指示と会社への問い合わせを記録に残すことが重要です。条件が書面で明確なのに会社が説明を変えない場合は、証拠をそろえて公的な相談窓口に相談しましょう。